「涅槃会について」

美濃市 永昌院 東堂 高橋定申 師

今月二月十五日はお釈迦様が亡くなられた日です。

お釈迦様は今から約三千年前、インドの北クシナガラ河畔にある沙羅双樹の林の中に、床をのべられました。右の脇を下にして横になられ、近くにいたお弟子達に最後の教えを説かれてから、静かに永遠の眠りにつかれたのです。

八十歳の御生涯は、多難な日々の中にも世の常なることを悟り、私達のために諸行の無常をお説きになりました。

教えを聞き、それぞれの道の正しさを知った多くのお弟子達と、多くの生物が悲しみの涙を流している情景の絵が涅槃図です。

今私のお寺の本堂でも、まだお彼岸まで飾っていますので、是非一度お参りいただき、ご覧になって下さい。

皆さんがこの絵を前にした時、どんなことを感じるでしょうか。

今は元気で私たちのために心配をして下さる、お父さんお母さんもいつかは亡くなり、私達の前から姿が消えてしまいます。

今のうちに孝行をしなくてはと思っても、ついそびれてしまう。そんな自分でいいのでしょうか。親孝行は、お墓に入った両親より、生きているうちに行うことが一番ですね。素直な心で一生懸命に働き、学び、両親に安心してもらいましょう。お涅槃の御絵図はやがて我が身に訪れる姿を写して、静かに私たちに教えてくださっているのです。