「怒りをおさえる」

関市 立蔵寺  住職  伊藤智純 師

アンガーマネジメントという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか

日本語にすれば「怒りを管理する技術」といった意味になるでしょうか、1970年代のアメリカで始まり、パワハラ、セクハラなど他者への攻撃的態度が問題化するなかで日本でも企業研修に取り入れられることが多くなっているそうです。

怒りはもともとは、動物にとって自分の身が「危険にさらされた」と感じたときに起こる防衛反応であり根源的、本能的な感情なのですが、人間の場合、必ずしも身体的な危険ばかりでなく自尊心や名誉、信念や価値観に対しても同様の反応を起こし、攻撃されたと感じてしまうことで人間関係を難しくしてしまっているのです。

怒りをどうコントロールすればよいのでしょう。

怒りは極めて衝動的であり、いかりのピークは最初の6秒間だそうです。

6秒以内に反応してしまうと、物に当たってしまったり、相手にひどいことを言ってしまったり、あとで後悔することになりますから、まずは深呼吸をしたり、その場を離れてしまうことも有効だそうです。

怒りは現実ではなく思考であるといいます。

目の前で起こった出来事に自分で意味づけをして、それに対して怒っているのです。

怒りのうらには「何々するべき」「何々であるべき」という自分の価値観とそうではない他者の価値観の衝突があります。自分と他人を客観的にみる訓練をすることで怒りを抑えることができるようになるでしょう。

怒りは二次的な感情であり、もとになる不安、心配、残念、恥ずかしいなどの一次感情の表現の仕方である、といいます。

自分がなぜ怒っているのか、もとの感情をよく理解すれば怒りのエネルギーは小さくなり、また相手に伝えるにも怒りそのものでなく、もとになった感情を上手に伝えた方が受け入れてもらうことができるでしょう。

仏教において「怒り」は克服するべき3つの煩悩「貪り、怒り、無知」の一つに数えられ、3つの毒「三毒」と呼ばれています。

仏陀は「怒りを捨てよ」「毒の根であり甘味を損なうものである怒りを滅ぼせ」「巧みな御者が走る車を抑えるように、むらむらと起こる怒りを抑えよ」と繰り返しお示しくださっています。

まずは最初の6秒間、と心に気を付けてみてはいかがでしょうか。