「忍辱修行」

瑞浪市 増福寺 住職 辺見智光 師

忍辱ということばをご存じでしょうか。忍辱とは「我慢する」「耐え忍ぶ」ということで、佛教の大切な修行の一つです。

思えば私たちの住むこの世界は生きて行くだけでも我慢し、辛抱することだらけの世界でもあります。

私達は人間関係や暑い寒いといった自然環境、自分の身体であっても病気になったり、年をとったり思い通りにならないことばかり。そんなとき私達は我慢したり、辛抱したりしなければならないことに出会います。

それでも自分のことばかりでなく、他者を思いやり調和をとることや、自然の移り変わりや自分の身体とも上手に付き合っていく方法を探していきます。そうしたことが忍辱ということでありましょう。

今はちょうど彼岸の時節、この忍辱は彼岸に実践すべき修行、六波羅蜜という6つの修行の一つでもあります。

昨年からの新型コロナウイルスの流行以来、私はこの忍辱修行ということを思わずにはおられません。今はみんなで自由に集まって飲食したり、旅行にでかけたりすることもできず、マスクの着用や密集・密接・密閉をさけることをみんなが徹底しております。一人一人が自分だけでなく他者のことを思いやり社会全体の事を考え、我慢し、辛抱し新型コロナウイルスの流行と戦っております。

これまでの日常を取り戻すもうしばしの間、忍辱修行、みんなで共に耐え忍んで参りましょう。