「少欲」の教え

高山市 正雲寺 住職 近藤元隆

このところ巷では、「エコ エコ」とよく耳にいたします。エコバッグ、エコ減税、エコポイント、これだけ毎日毎日耳にしていると、一体エコとは何ぞや?という疑問が湧いてきたりします。「環境を表すエコロジーと経済を表すエコノミー」を合わせた言葉なのだそうですが、まず頭に浮かぶのは、あふれるほどの物を造りながら、一方で節約ブームと謳っている矛盾点に疑問が湧いてきます。自分の周りをよく見渡してみて下さい。案外必要の無いものに囲まれて生活していることに気が付いたりもします。

確かに地球の環境を守り、無駄を無くすのは素晴らしい考え方です。個人で出来ることは限られていますが、一人一人が意識を持つことで、世の中はゆっくりと変化を遂げていきます。

仏教の教えに「少欲」という言葉があります。お釈迦様は「欲望というものは、満たせば必ず次の欲望を生む」これが人間の迷いの根幹であると指摘されました。しかし一方では欲望を満たすのがいけないとは申されてはいません。欲望というものは、絶えず危険性を伴うものであることを知り、その制御を学びなさいということを教えられています。

何かにつけて闇雲にエコを唱える前に、まず日常からこの欲をコントロールすることが大事だという「少欲」の教えを意識して生活することこそ、本当のエコに繋がるのではないでしょうか。今一度、考えてはいかがでしょう。