「カビ」もいのち

羽島市 本覚寺 住職 大橋陵賢 師

梅雨の時期ですね。冷暗所や冷蔵庫でカビをはやしてしまったなんてことは誰にでもあることではないでしょうかそんな時は皆さんどうしてますか?

安易に「捨ててしまう」なんてことは行ってないですか?

私は毎年味噌を手作りしますがこの時期は一度味噌の状態を確認します。そうすると白色や青色のカビが生えていることがあります。

発酵と腐敗のちがいをごぞんじですか。実は全く違いはありません。ただ、自分たちの都合で「人体に良いか悪いか」で判断しているだけなのです。主に白いカビには人体に悪影響を与える事はなく、青いカビは人体に影響を及ぼすと言われていますが私はその両方を混ぜ合わせてしまいます。その方が力とおいしさを併せ持つ味噌が出来上がるからです。

お釈迦様の教えの中に「同事」と言う言葉があります。相手の立場や気持ちに寄り添って、相手が受け入れてくれるようにする仏の行いの実践です。

味噌は良い影響を与えるカビも副作用が働くカビも交わりあっているからこそ私たちの身体に良い影響を与えてくれるのです。カビの立場に立ったら同じ菌の発酵なのに「なんで人の都合で良いとか良くないとか言ってるの」と疑問に思いませんか。

どうかカビが生やしてしまったら「捨てる・食べれない」という物の見方以外に「このカビをどうやったら活かせるか」と言う思考を働かせ実践してみてはいかがでしょうか。