正しい考え・正しい行い

恵那市   圓通寺 住職   森 如謙師

 

心身を乱し悩ませて、正しい判断を妨げる心の働きを「煩悩」と言いますが、この煩悩の代表として、貧り、怒り、愚かさの三つが挙げられます。煩悩の根本は自己中心の考えに基づく物事への執着から生ずるもので、人間(自分)の欲望、思いやりには大なり小なり自己中心の思い、我執がまとわりついてきます。ですから自分の思い欲望を煩悩とは言葉は違っていても内容は同じと考えられます。そのことを知っていれば、たとえわずかでも自己中心に陥らない正しい判断に近づくことが出来るでしょう。正しい判断から行いをすれば正しい行いへとなっていくのです。仏教の教えに諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教、もろもろの善は務めて行う、その基となる心を深め、清くする。これが仏の教えであると戒めています、私たちの行いを良くするには正しい判断が大切なのです。しかしながら私たちは、良かれと思い行ったことが、他人には迷惑であったりすることが、多々あるのです。それは自己中心の思いからであり、相手のことを深く考えなかったからでしょう。良い行いとはどんなことでしょう。今日の世の中は自分さえ良ければ良いという人が多く、いやなことはしたくないと遠ざけがちです。思いやりをもって行動し、正しい行いが出来るよう自分を戒め、自己中心にならないようにしたいものです。